車を廃車にしたあと、保険の解約や税金の手続きで「廃車証明書を提出してください」と言われて戸惑う人は多いはずです。運輸支局でもらった書類の山に、そんな名前の紙は1枚もないからです。
種明かしをすると、「廃車証明書」という正式名称の書類は存在しません。廃車(抹消登録)の完了を証明する書類の総称であり、実体は車種と手続きの種類によって4つに分かれます。廃車の書類を日常的に扱う立場から、どれが何なのか、なくしたらどうするかを整理します。
「廃車証明書」の実体は4つの書類
| 車種 | 手続き | 証明になる書類 | もらえる場所 |
|---|---|---|---|
| 普通車 | 一時抹消登録(ナンバー返納・車は残す) | 登録識別情報等通知書 | 運輸支局(手続き完了時に交付) |
| 普通車 | 永久抹消登録(解体済み) | 登録事項等証明書で証明 | 運輸支局(申請して取得。現在記録300円・詳細記録1,000円) |
| 軽自動車 | 自動車検査証返納届(一時使用中止) | 自動車検査証返納証明書 | 軽自動車検査協会(手続き完了時に交付) |
| 軽自動車 | 解体返納(解体済み) | 検査記録事項等証明書で証明 | 軽自動車検査協会(申請して取得) |
ポイントは2つあります。
- 一時抹消系は手続きしたときに渡される、永久抹消・解体系は必要なら自分で証明書を取るという違いがあります。永久抹消をしても「廃車証明書」という紙が自動で郵送されてくるわけではありません
- どの手続きをしたかで書類名が違うため、提出先に「廃車証明書を」と言われたら、一時抹消か解体済みか・普通車か軽かを伝えると話が早く進みます
一時抹消と永久抹消の違いそのものは廃車手続きの流れの記事で解説しています。
何に使う書類なのか
廃車証明書(の実体)が必要になる代表的な場面です。
- 自賠責保険の解約返戻 — 保険期間が残っていれば、抹消を証明する書類を添えて解約すると残期間分が戻ります
- 任意保険の解約・中断証明書の発行 — 等級を守る中断証明書の発行時に、抹消の書類を求められます。等級は最長10年保存できるので、車を手放しても必ず発行しておくのがおすすめです
- 自動車税の還付の確認 — 還付は抹消月の翌月以降の月割。手続きが済んでいる証拠として書類の日付が物差しになります
- 一時抹消からの再登録 — 車を再び登録するときは、登録識別情報等通知書(軽は返納証明書)の原本が必須です。この用途だけは代替が利かないため、車を残して一時抹消した人にとっては最重要の保管書類です。一時抹消の記事でも触れています
紛失した——再発行できるのか
ここが最大の落とし穴です。登録識別情報等通知書と自動車検査証返納証明書は、再発行ができません。
ただし慌てる必要はありません。抹消の事実の証明なら代替手段があります。
- 普通車 → 運輸支局で登録事項等証明書を取得(現在記録300円・詳細記録1,000円。車台番号などが必要)
- 軽自動車 → 軽自動車検査協会で検査記録事項等証明書を取得
保険の解約・中断証明などの用途は、この代替書類で足りるのが一般的です(最終的には提出先の指定に従ってください)。一方、前述のとおり一時抹消からの再登録だけは通知書・返納証明書の原本が必要なので、「いつか再登録するかもしれない車」の書類は車検証入れではなく自宅で保管することをおすすめします。
業者に廃車を頼んだのに、書類をもらっていない場合
廃車買取業者に引き渡した場合、抹消手続きは業者が代行するのが通常です。そのとき必ずやるべきなのが、手続き完了の書類(写し)を受け取ることです。
もらっていない場合は、引き取った業者に請求してください。まともな業者なら普通に対応します。逆に、「廃車にしておきます」と言ったまま一時抹消もされず放置されていると、翌年度の自動車税があなたに請求されます。名義と税金のリスクという意味で、完了書類の確認は廃車の最後の仕上げです。業者へ渡す前のチェックポイントは名義変更・抹消登録の実務記事にまとめています。
まとめ
- 「廃車証明書」という書類はなく、実体は車種×手続きで4つ(通知書/登録事項等証明書/返納証明書/検査記録事項等証明書)
- 一時抹消系は完了時に交付、解体系は必要なら自分で取得する
- 通知書・返納証明書は再発行不可。証明用途は登録事項等証明書などで代替、再登録だけは原本必須
- 業者に依頼した廃車は完了書類の受け取りまでがセット。もらっていなければ請求を
これから廃車にする段階なら、書類代行まで無料の業者を選ぶと、この記事の書類一式も含めて手離れよく進みます。選び方は廃車買取の選び方ハブへ。
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なお、本記事は執筆時点の一般的な手続き・手数料にもとづいています。証明書の名称・手数料・必要書類の最新情報は、運輸支局・軽自動車検査協会・提出先(保険会社等)の案内でご確認ください。