事故を起こした車を前に、「これに値段が付くのか」「修理してから売るべきか」と悩む方は多いはずです。結論から言うと、事故車には原則として値段が付きます。ただし、その相場の決まり方は普通の中古車とはまったく違うロジックで動いています。この記事では、事故車を買い取る側の実務目線で、相場の分解と高く売る条件を解説します。

まず「事故車」を2種類に分ける

買付側は、事故車という言葉をひとくくりにしません。値段の付き方が根本から違う2種類に分けます。

  • 修復歴車(走行できる):事故で骨格部位を修理した履歴があるが、直って普通に走る車
  • 事故現状車(壊れたまま):事故のダメージが残ったままの車。不動車を含む

この区別が大事なのは、流通できるルートが変わるからです。走る修復歴車は中古車として再販・輸出の土俵に乗れますが、壊れたままの現状車は輸出前検査に通らず(船に自走で乗れず)、部品と素材の世界で値付けされます。

修復歴車の相場:減額は「車種によって全然違う」

修復歴があると査定が下がる——これは事実ですが、どれだけ下がるかは車種によって大きく違うことはあまり知られていません。当サイトが集計した輸出流通の実務データ(同じ車種・年式帯での修復歴あり/なしの中央値比較)では、こんな傾向が出ています。

傾向車種の例減額の目安
減額がほとんど出ないプリウス、エクストレイル、フィット、アルファードほぼ同水準
1割前後の減額ランドクルーザープラド、ハリアー、RAV4、ノート−5〜10%程度
2〜3割の減額カローラフィールダー、CX-5、デュアリス、ヴェゼル−20〜30%程度

なぜ差が出るのか。輸出主体で動く実用車は「走るかどうか」で評価されるため、修復歴の影響が小さい。一方、きれいな個体に需要が集中する車種や、国内再販の比重が高い車種は、修復歴表示義務の影響をまともに受けて減額が大きくなります。

つまり「修復歴があるから二束三文」とは限りません。自分の車がどちらのタイプかは、売却価格 相場診断で確認できます——この診断には修復歴あり/なしの切り替えがあり、車種ごとの実績係数で帯を補正して表示します。

事故現状車の相場:部品と素材の「分解値」で決まる

壊れたまま・動かない事故現状車は、業者はこう値付けします。

(無傷で残った部品の価値 + 素材の価値)−(引き取り・レッカー費用)−(業者の利益)

ポイントは、損傷していない部分の価値は消えないことです。前部が大破していても、エンジンが無事なら心臓部の価値は残り、後ろ半分のドア・ゲート・足回り・電装はほぼ無傷の部品として売れます。そして最後の下支えが素材(鉄・アルミ・触媒など)で、これは素材価値のコラムで書いたとおり、どんな状態でもゼロにはなりません。

逆に査定を下げる要因は、エアバッグの展開(部品価値の毀損+処理の手間)、骨格まで及ぶ損傷、水没歴、そして不動車の引き取りコスト(レッカー・人員)です。保管場所の条件次第で引き上げ費用が膨らむ話はキー紛失車の記事で書いたのと同じ構造です。

高く売る条件は4つ

買付側から見て、事故車で損をしない売り方はシンプルです。

  1. 修理してから売らない。修理費が査定の回復額を上回るのが原則で、直しても修復歴は消えません。壊れたまま出すのが正解です(詳しくは修理と売却どちらが得かの記事
  2. 状態を正直に、写真つきで伝える。損傷部位・エアバッグの展開有無・走行可否。正確な情報は業者が強い札を入れる材料になります
  3. 事故車の出口を持つ業者に見せる。部品・素材で収益化できる解体網や、修復歴に寛容な輸出ルートを持つ業者ほど、高い値付けができます
  4. 還付金を取りこぼさない。廃車にする場合は自動車税重量税・自賠責の還付を確認しましょう

どこに売るか——状態で分ける

壊れたまま・不動の事故現状車なら、事故車・不動車の引き取りに対応した廃車買取が現実的です。仕組みはハイシャルのレビュー記事で解説しています。

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修理済みで普通に走る修復歴車なら、廃車扱いせず中古車の土俵で競らせるほうが手取りは残りやすい。オークション型のユーカーパックのような、複数の買い手が札を入れる方式が候補になります。

まとめ

  • 事故車は「走る修復歴車」と「壊れたままの現状車」で相場のロジックが別物
  • 修復歴の減額は車種で大差がある(ほぼ減額なし〜3割前後)。修復歴=二束三文ではない
  • 現状車は「無傷の部品+素材 − 引き取りコスト」の分解値。エアバッグ展開・骨格損傷・不動は減額要因
  • 修理せず・正直に・事故車の出口を持つ業者へが、高く売る3原則

自分の事故車がどちらのルートに向くかは、下記の診断で車種・年式・状態から目安を確認できます。

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なお、本記事の減額傾向・相場の記載は当サイト集計の実務データと業界一般の傾向にもとづく執筆時点の目安であり、個別の査定額を保証するものではありません。実際の金額は損傷状態・市況により変わり、業者の現車確認で確定します。