廃車を出すとき、ほとんどの人が気にしないのがタイヤとホイールです。ところが買付側から見ると、ここはホイールの素材ひとつで1万円単位の差が出る、判断のしどころです。この記事では、解体の現場でタイヤがどう扱われているかの実態から、鉄ホイールとアルミホイールでの戦略の分け方までを解説します。

ホイールの素材で、4本あたり約1万円変わる

まず土台の話です。ホイールには大きく鉄(スチール)とアルミがあり、素材としてのキロ単価がまったく違います。

素材スクラップ単価の目安4本分の概算
鉄ホイールキロ40円前後約30kg × 40円 = 1千円台
アルミホイールキロ300〜500円程度約30kg × 300〜400円 = 1万円前後

つまり同じ「ホイール付きタイヤ4本」でも、素材価値だけで約1万円の差が付きます。車の素材価値の考え方は素材価値のコラムで解説したとおりで、アルミは「軽いのに単価が高い」代表格。ホイールはその最たる例です(相場は地域・品位・時期で変動します)。

黒いSUVに装着されたスポークデザインのアルミホイール
アルミホイールの例。金属の質感と細いスポークの造形が特徴で、素材だけで1本2千円超の価値がある

見分け方の注意:「キャップ付きの鉄」はアルミに見える

ここで要注意なのが、鉄ホイールにはホイールキャップ(樹脂製のカバー)が付いていることが多いことです。シルバーに塗られたキャップは、パッと見るとアルミホイールとよく似ています。「うちの車はアルミだ」と思っていたら、実はキャップ付きの鉄だった——これは本当によくある勘違いです。

トヨタ純正のホイールキャップが付いた鉄ホイールのタイヤ
ホイールキャップ付きの鉄ホイール。一見アルミに見えるが、樹脂カバーの下は黒い鉄ホイールだ

見分け方は簡単です。キャップは樹脂なので表面にプラスチックのツヤがあり、爪で叩くと軽い音がします。確実なのはキャップを外してみることで、下から黒い鉄ホイールが出てきたら鉄。磁石がくっつけば鉄、という判定も確実です。アルミは金属の質感で、ナットが造形に組み込まれて見えるのも特徴です。

タイヤの「ゴム部分」は、ほぼ値段にならない

一方で意外に思われるのが、タイヤのゴム部分=溝(ヤマ)の残りは、普通乗用車の査定にさほど影響しないことです。

輸出の現場には、タイヤの中にタイヤを組み入れて輸送効率を上げる「ダブリング」という手法があり、これができる解体業者なら西アフリカや南米向けに1本数百円の収益を立てられます。しかしこの技術と販路を持つ業者は一部で、大半の自動車リサイクル業者は、タイヤチェンジャーでホイールから外したあと、ゴム部分をほぼ無料同然で引き取ってもらっているのが実態です。

だから「溝がまだ残っているから高くなるはず」は、残念ながら期待しないほうが実態に合っています。価値の中心はゴムではなく、ホイールの素材にあります。

タイヤを外して台車に山積みされたアルミホイール
タイヤチェンジャーでゴムを外したあとのアルミホイール。ゴムはほぼ無料で引き取られ、価値はこのホイール側に残る

「純正か社外か」を確認する——ブランドアルミは個別売り

アルミホイールの中でも差が大きいのが、純正品か社外品かです。純正アルミは基本的に素材+α程度ですが、社外のブランドホイール(RAYS・BBS・WORKなど)は中古品として指名需要があり、素材価値を大きく超える値が付きます。ブランドホイールを履いているなら、車と一緒に出さず個別に販売するのが鉄則です。

よくあるパターン:「夏は純正鉄、冬は社外アルミのスタッドレス」

実務でよく見るのがこの構成です。夏タイヤは購入時のままの純正鉄ホイール、冬はタイヤ販売店で買った社外アルミ+スタッドレスのセットで運用しているケース。

この場合、廃車と一緒にスタッドレスセットまで手放すのはもったいない。社外アルミの4本セットは、メルカリやヤフオクなどの個人間取引で売れば、それだけで1万円以上手元に残る可能性が高いからです。

「タイヤ4本の梱包なんて無理」と思うかもしれませんが、メルカリの「梱包・発送たのメル便」なら梱包から発送までプロが代行してくれます(タイヤ+ホイールのセットが対象・最大4本まで。ホイール単体は対象外なのでその場合はヤフオク等で)。送料は距離とサイズによりますが、160サイズで3千円台が目安。手間の壁はかなり下がっています。

廃車買取に出すときの実務——「4本積み込み可」の意味

カーネクストなどの廃車買取サービスでは、ホイール付きの廃タイヤを4本まで車に積み込んで無料で引き取る運用が一般的です。これは親切心だけではなく、引き取る解体業者側にとってホイールの素材が収益になるからです。

ただし勘違いしやすいのは、積み込んだタイヤのぶん査定額が上がるわけではないこと。業者の入札時点では、タイヤ積み込みの有無は織り込まれていません。つまり「余ったタイヤの処分手段」としては便利ですが、「高く売る手段」ではない、と整理してください。

結論:ホイール素材で出し方を変える

以上を踏まえた、廃車出品のタイヤ戦略です。

  • いまの車がアルミホイールを履いているなら:出品・査定依頼時の写真撮影は必須です。ホイールがはっきり写った写真を添えるだけで、業者側はアルミの価値を織り込んだ札を入れられます
  • 社外ブランドアルミ(夏冬どちらでも)を持っているなら:車と一緒に出さず、たのメル便などで個別売り。4本で1万円以上の手残りが狙えます
  • 鉄ホイールで、素材価値しか残っていない車なら:タイヤで悩む実益は小さいので、手間を考えれば無査定でまとめて引き取ってもらうのも十分合理的な選択です

自分の車が「素材価値の車」か「まだ値が付く車」かは、出口診断売却価格 相場診断で目安を確認できます。廃車ルートの仕組みはハイシャルのレビュー記事もどうぞ。

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なお、本記事のスクラップ単価・買取条件・配送サービスの仕様は執筆時点の一般的な目安です。実際の金額・条件は相場・地域・各サービスの最新規約によって変わります。